朝活読書サロンCollective Intelligence

月二回渋谷で開催している朝活読書サロンCollective Intelligenceに集う本をこよなく愛するメンバーのブログ

【やっぱり「娘」もバイブルでした】『ビジネスマンの父より娘への25通の手紙』

おはようございます。readingsalonのブログ、共同執筆者の北澤です。毎月第一日曜日に、一ヶ月で読んだ本の中から選りすぐりの一冊を紹介していきます。


朝活読書サロンには英語科があり、青木高夫師匠が隔週で英文読解の指南をしてくれています。次回からはキングスレイ・ウォードの『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』がテキストになります。そういえば「息子」は読んだことはあるけれども「娘」はないな... というわけで読んでみました。私にとって「息子」はバイブルですが、この「娘」も負けず劣らず野一冊です。やっぱり「娘」もバイブルでした。


キングスレイ・ウォード著、城山三郎訳『ビジネスマンの父より娘への25通の手紙』



「息子への手紙」は著者が大病を患った時に、息子への遺産として人生から得た貴重な教訓を伝えるべきだと考え、手紙として「静かに書かれた言葉」によって綴られたものです。そんな著者が娘に対して伝える言葉がないはずはない。何とも野次馬根性的な発想ではありますが、このような野次馬は大歓迎です(笑)編集部が打診したところ、著者からは次のような回答があったそうです。

もちろん、伝えるべきことはある。ただし、本当に書く気が起るまでは待って欲しい。二番煎じのものと見られたくもないし


「息子への手紙」同様に、手紙の最後に添えられる発信者名がまた良いのです。その多くは「父より」となっていますが、時には「お節介者より」「男性の一人より」「おじいさんになって誇らしさでいっぱいの父より」といった変化球を投げています。確か「息子への手紙」では「君の応援団長より」といった表現があったかと思います。ちょっとした表現に愛情が溢れていて素晴らしい。


「娘への手紙」で面白かったのは酒とアルコールについて。酒を飲むならくつろぐためか楽しむためにしておくようにと言うかたわらで「酒と麻薬のどちらかを選ばなければならないときには、酒にするように」と釘を刺しています。そして「しかし、飲み過ぎたときには、迎えにいくから、必ず電話をするように」というフォローも忘れません。やはり娘には息子と違う気遣いがあります。


もうひとつ面白かったのが管理職としての心構えについて。管理を必要とするのは物だけであり、部下が必要とするのは指導である。そして何よりも自分の働きが認められ高く評価されていると感じさせなければならない。そのように語る一方で「しかしときには、正真正銘の「屑」に当ることがある」「屑はさっさとつまみだして捨てるように」という手厳しい考えも披露しています(笑)

「息子への手紙」で最も印象に残ったのは「礼儀正しさは最大の武器である」ということでした。この「娘への手紙」では、失敗や失望また挫折などに対する心構えが印象に残りました。大切なことは人生を形づくる客観的な出来事ではない。大切なのは「これらの出来事にどのように対処して、それぞれの人生を形づくるか、ということである」と。不条理にどう向き合いどう対処するか。


「息子への手紙」とはまた違った味わいはありますが、女性だから「娘への手紙」を読み、男性だから「息子への手紙」を読むということではなく、息子も娘も人生の糧になる金言があふれています。息子に負けず劣らず野内容です。やっぱり「娘」もまた人生のバイブルでした。