朝活読書サロンCollective Intelligence

月二回渋谷で開催している朝活読書サロンCollective Intelligenceに集う本をこよなく愛するメンバーのブログ

【取り扱い注意の「異形の小説」】『悪童日記』

こんばんは。readingsalonのブログ、共同執筆者の北澤です。毎週土曜日に、一週間で読んだ本の中から一冊を紹介しています。ブクレコという本のSNSで、一日一冊読んだ本の感想を書いています。よろしかったら覗いてみて下さい。


本日紹介する本はこちらです。



アゴタ・クリストフ著、堀茂樹訳『悪童日記


私は小説読みではありませんでした。でしたというのは、今は結構な頻度で小説を読んでいるので。4-5年前に多かったのは自己啓発系、2年前くらいから増えてきたのがノンフィクション科学系、そしてここ最近は小説を読む機会が増えました。


小説読みではなかったので、この『悪童日記』もそうなのですが今更ながら読んだという本が多いです。今年は文学(特に太宰治)を読む機会が増えました。なぜなのかは分かりません。そういう時期なのか、身体が求めているのか、何なのでしょう。


悪童日記』は以前から気になっていました。「○○文庫の100冊」という冊子を見たことがあると思いますが、「ハヤカワ文庫の100冊」の中で紹介されています。「ぼくたち、何ひとつ悔いていません」という見出しの言葉と次の紹介文とで。

戦争が激しさを増すなか、祖母の住む田舎町に疎開した双子の少年。ふたりは日々のつらい現実をノートに克明に記録し、犯罪も辞さない独自の倫理観をもって過酷な世界と対峙する。


確かに双子が置かれる環境は苛酷です。しかしながら、なぜここまでのことができるのか全く理解ができません。そして、なぜ双子でなければならないのか、彼らがどのように独自の倫理観を持つようになったのかということに、とても興味がそそられます。


この『悪童日記』は三部作です。第二部『ふたりの証拠』、第三部『第三の嘘』と続きます。『悪童日記』でアゴタワールドに引き込まれたしまったので、この楽しみを一気に味わい尽くすのはもったいない、じっくり味わおうと考えていたのですが...


幸か不幸か(本音としてどちらの感情もあります)、某所で『ふたりの証拠』を手に入れてしまいました。家に置いてある以上は我慢することができないでしょう。一両日中にぺろっと平らげてしまうことになりそうです。そして気が付けば『第三の嘘』も...




ネタバレになるといけないので内容には触れませんが、異常な世界が展開されます。訳者の堀茂樹さんが「異形の小説」と形容していますが、まさにその通り。第二次世界大戦末期のハンガリー動乱における著者の体験が色濃く反映されているのでしょう。


それにしても、この『悪童日記』というタイトルは余りにもお見事。フランス語の原題を直訳すると「大きな(大判の)帳面」といった意味になるそうです。堀茂樹さんの作品に対する思い入れ、そして訳者としての力量を強く感じます。


世界的なベストセラーなので既に読んだ方も多いと思います。もし私のように未読の方がいたらラッキーかもしれません。しかし、異形の小説というくらいですから好き嫌いが分かれるかもしれません。取り扱い注意の小説です。