朝活読書サロンCollective Intelligence

月二回渋谷で開催している朝活読書サロンCollective Intelligenceに集う本をこよなく愛するメンバーのブログ

【著者の講演を聴いてきました】『時に海を見よ これからの日本を生きる君に贈る』

こんにちは。readingsalonのブログ、共同執筆者の北澤です。毎週土曜日に、一週間で読んだ本の中から一冊を紹介しています。ブクレコという本のSNSで、一日一冊読んだ本の感想を書いていますので覗いてみて下さい。


今日は先週同様に趣向を変えて、本と講演の内容をセットで紹介します。本は以前に読んだもので、講演は三週間ほど前に聴いてきたものです。



渡辺憲司著『時に海を見よ これからの日本を生きる君に贈る』


以前「高校生に勧めたい本」というテーマで読書会を開いてもらいました。アメリカにいる弟が日本語補習校のお手伝いをしているのですが、補習校の本棚があまりにも残念な状態なので、読書会でお勧めできる本を募ってほしいと依頼されたのです。


ありがたいことに数多くの良書を紹介してもらいました。私は渡辺憲司先生の『時に海を見よ』を紹介。高校生にぴったりだと思ったからです。自分で自由にできる僅かな期間の時間を大切にせよ。そんなことを高校生たちに発信している熱い本です。


「高校生に勧めたい本」の読書会をFacbookに投稿したところ、とある読書仲間が渡辺憲司先生の講演会に誘ってくれたのです。これはありがたかった。台風が迫る10月5日の日曜日、足下が悪い中やや遠方でもありましたが、行って良かったですね。


講演のテーマは「子供の力を伸ばすにはどうすればよいか」です。中学、高校、大学と45年間教育に携わってきた渡辺憲司先生。いまも立教新座中学校・高等学校長として現役です。大柄な人をイメージしていたのですが、小柄で腰が低い人物でした。


『時に海を見よ』にも出てくる渡辺憲司先生の失敗談があります。そこから学んだ大切なことはいかに「聞いてあげるか」ということ。聞く力がいかに大切であるか。聞くとはどういう姿勢なのでしょうか。私はこのようなことではないかと思います。


「聞くとは相手と同じ目線に立つこと」


親の立場で言えば、子供の目線まで下りることが必要。語るばかりで聞いてあげることのできる親が余りにも少ないと嘆いていました。耳が痛かったです。なお、人の話を聞く時は対面ではなく横に寄り添うように座るほうが良いそうです。なるほど。


選択を迫るような聞きかたも良くないそうです。例えば「やる気があるのかないのか?」など。ついつい言ってしまいがちな「~しなさい!」も厳禁ですね。これからは「どうしてやらないの?」という言いかたを心掛けなければなぁと反省しました。


「聞くことで余地ができる」


これは選択を迫るということにつながりますが、つまり子供たちを追い詰めるなということです。聞いてあげることで余裕ができる、つまり新しいことが入る余地ができるということ。そのために、まず父親や母親が余地を持たないといけませんよね。


教育というと、エリートを作り出すような「教(おしえる)」ばかりが強調されて、様々な価値観を持つ子供たちを包み込む「育(はぐくむ)」がおろそかになっていると言います。多様性を受け入れることが優しさを育むことになると。うむ、深い。


私には中学二年生と小学五年生の息子と娘がいます。子供たちと接する姿勢を考えさせられた素晴らしい講演でした。声を掛けてくれた読書仲間に感謝、感謝です。