朝活読書サロンCollective Intelligence

月二回渋谷で開催している朝活読書サロンCollective Intelligenceに集う本をこよなく愛するメンバーのブログ

【太宰治っていったい何者!?】『女生徒』

こんばんは。readingsalonのブログ、共同執筆者の北澤です。毎週土曜日に、一週間で読んだ本の中から一冊を紹介しています。ブクレコという本のSNSで、一日一冊読んだ本の感想を書いていますので覗いてみて下さい。


今日紹介する本はこちら!



太宰治著『女生徒』


私は本読みですが、小説を好んで読むことはしません。嫌いではないのですが、小説よりも歴史ものや科学系ノンフィクションなどを読むほうが楽しいので、自然と小説に割かれる時間は少なくなります。特に文学系は弱いです。


「えっ、読んでないの!?」という文学がびっくりするほど多いです。まぁ、裏を返せばこれからの楽しみが多いということで。太宰治の小説もそのひとつです。代表作『斜陽』や『人間失格』を読んだのもここ最近のこと。


私と同じく文学をあまり読まない人におすすめの本があります。新潮文庫が出している「文豪ナビ」というシリーズ。文豪の生い立ちや代表作の要約、寄稿者によるエッセイなど、文学に親しんでもらいたいという仕掛けが満載。



この「文豪ナビ」シリーズを読んで、今日紹介する『女生徒』を読んでみたくなりました。三十男(太宰治)が乙女の素直だか捻くれているのだか分からない心理を必死に書いている。そんな解説に惹かれてしまったのです。


あらすじとこの作品の評価をWikipediaから引用します。

14歳の女生徒が朝起床してから夜就寝するまでの一日を主人公の独白体で綴っている。思春期の少女が持つ自意識の揺らぎと、その時期に陥りやすい、厭世的な心理を繊細な筆致で描き出し、当時の文芸時評川端康成たちから激賞され、太宰の代表作の一つとなった。


14歳の女の子が延々と独白を続けます。ここから『斜陽』が生まれたのか。そう感じさせる作品でした。主人公の女の子と母親とのやり取りが『斜陽』のかず子と母親を思い起こさせます。かず子の原点は『女生徒』にあり!?


ちなみに、太宰治にはこの『女生徒』と並ぶ名作(迷作?)『美少女』という小説があります。混浴で湯につかる16-17歳いや18歳になろうかというピッチピチの少女を見かけた主人公の心境が独白調で綴られる笑える作品です。



『女生徒』にしても『美少女』にしても、なかなかぶっ飛んだ小説です。さすが太宰治、と思うべきなのか。それとも、太宰治っていったい何者!? と思うべきなのか。悩むところです。まぁ、前者なのでしょうね。


文学って悪くないかも。そう思わせる二作品。ところで『美少女』『女生徒』ときたら、もうひとつ漢字三文字の「女」作品をもってきて、女の子シリーズ三部作を完成させたいところです。何か良いアイディアありませんか?